バルナック型ライカのこと(2/2) 最終編

5月6日記事、(『バルナック型ライカ』;宮島大聖院境内で見たもの、、)の最終編です。
何度かドイツに出向いた内、おおよそ15年前になるか。ミュンヘン市内の某カメラ屋で、バルナック型ライカを購入したことがあります。 それはそれはたいへんな出来事にて、掘り出し物を見つけたのです。 函付き・革ケース付、ボディーはそれなりの風格、キズやカビは見あたらず、古式豊かな沈胴式の標準50mmカールツアイスレンズが装着されていました。帰国して試し撮りしたところ芳しくない。シャッターは正常に作動する(シャッター音による素人判断)けれども、どうやら無限大のピントがずれていて、修理してもらわないと、直ぐに使えない状態でした。
さっそく行きつけの中古カメラ屋さんに持参し、相談したところ、
「これ、私に売って下さい」
「20年掛ってようやく手に入れたカメラです。ちょっと困ります、、、」
と答えたら、
「トーマスさんは又、直ぐに、ドイツに行ってライカが探せるからいい。私がこのライカを高く買わせていただきますから、ドイツかハンガリーに行ってもっと良いライカを探してください……」
などと口説かれて、
(また探せばいいか……)
などと、ついついその気になって、売ってしまったのです。
その後、バルナック型ライカを探す時間がなく、今もってライカカメラを確保できずにいるのです。
そんななか、大聖院でこのバルナック型ライカとの出会いがありました。
もちろん、
このライカは、すでに単機の部品だけで成り立っているのではなく、複数のライカの部品を集めて『今のライカ』に成っているとのこと。お話を聴いてまず敬服。さらに聞けば、持ち主の青年ご自身により、組み立て修理をされたているとの事、これまた感服。不肖トーマス青木は『グウの音』も出ず、かくなるカメラの持ち主に、見事降参しました。
初めての大聖院境内にて開催した古本市イヴェント『宮島おかげ市』に出展参加した旅遊亭トーマス青木は、商売を完全に忘れてしまっても構わないほどに、『素晴しい出会い』と『大きな収穫』を得たのであります。
ありがとうございます。
宮島弥山大本山大聖院さまのおかげです。
「……?」
「は? はい、そうなんです。カメラの持ち主のお連れの青年ひとりが、私の出品古書を2冊、お買上げくださいました」
てなことで、
ドイツカメラ談話三昧にて無駄な時間を費やしたかと思いきや、青年3人組の御一人から古書三冊、お買上げ下さいました。
これにて一件落着。
異なる世代を越えての『あらたな出会い』は、共通の大いなる楽しみを生み出し、且つ思いがけない細やかなビジネスが誕生したのです。
思い出に残る、宮島大聖院境内での『嬉しいひと時』でした。
(投稿:トーマス青木)

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