夢心塾エッセイ集;「港町 涙町 別れ町」 by Mr. Ikuya N.
― 港町 涙町 別れ町 ―
(続)俺の青春時代。
大学一年生の後期試験が済んだ春休み。 それ迄自宅からバイク通学。 自動車免許は持っていなかつた。 地元の自動車学校は春休み期間中での実技練習申し込みは終了。 仕方なく四国のM市の自動車学校に申し込み、OK。 当地へ下宿することになる。 一週間は法令と構造の講習。 それから実技練習。 一日一時間のみ。 後は暇であつた。 時間つぶしに映画観賞と街をブラブラ。 俺の住んでいるところより少し田舎。
ある日、実技練習をするために教習車の順番待ちをしていた。 その後に並んでいたのは可愛い娘です。 後ろに髪を結んでいるポニーテール。新鮮だった。 とても可愛く見えた。 その学校での目的は同じ。 話題は豊富。 話しは弾む。 彼女と同じ時間帯で実技練習。 お互いに実技試験合格を目指して励ましあう。 彼女は地元の私立S女子大生だつた。桜咲く季節。
色々な名所を案内してもらった。 太陽の明るい光線が彼女の白い色の顔を照らす。 キラキラと輝く瞳だった。 楽しそうな仕草がごく自然に手をつなぐ。 いつも自動車学校で逢えることで安心し過ぎた。 住所も電話番号も聞いていなかつた。 俺の方も相手から聞かれていれば教えていたはず。 後から思えば彼女は控えめなタイプの女性。 俺としたことが、、、。(反省)
数週間後、彼女の方が先に実技試験を受け合格した。 見学をしていた俺。 俺の方に飛んで来た。 「オメデトウ」と両手を握る。 眼と眼が見つめ逢う。 いつもより興奮気味。 何か瞳が訴えていたのに気がつかなかった。 合格すれば学校は卒業です。 明日から逢えないのです。(判らなかつた)
翌日、いつもの時間に実技練習。彼女はいつまでたつても現れなかつた。 彼女は何処に…
そこで気がついた。が、遅かつた。 傷心の俺。 その夜は飲めない酒でヤケ酒だった。
その後日、この自動車学校に女性には変にやさしく、男には冷たい評判の悪い教官がいた。 いつもは気にしない大人しい俺。 些細なことから喧嘩になった。 「表へ出ろ」と言われ教習所のコースの中でにらみ合い。 そしてつかみ合い。(一触即発!) 他の教官達が止めに入りドロー。 その教官の兄貴は現役バリバリの地元ヤクザの幹部。 後からわかった。 知らなくて良かつた。 その日、喧嘩をした教官とは、学校側の仲介で仲直りの手打ち式。 男同士、分かり合えば早いもの。(お友達になってしまった) それから教官達の態度が激変。皆に大事にしてもらった。 時は経ち俺の実技試験も合格。(卒業だ!)
思い出の地、M市。 M市を離れる日が来た。 彼女の思い出が走馬灯のように出てきた。(桜が満開の公園、商店街で楽しいショツピング、喫茶店での会話等々数多く)・・・
港から船で出航する運命の時間が来た。 汽笛が鳴る。 スベリだした船。 デッキから港の方に眼をやる。 どこかで見た女性の姿。 「彼女だ!」 彼女が見送りに来てくれた。 親友になった学校のあの教官が、俺達のことを風のウワサで知っていた。 俺のために彼女に連絡してくれたのだ。 俺を喜ばすために…
(うれしかつた、本当にうれしかつた) しかし遅かつた。 運命のイタズラ。 間に合わなかつた。 お互いに手を振る。 彼女の瞳から大粒の涙、涙、涙…
「港町 涙町 別れ町」(石原裕次郎唄)
港町 別れ町 未練に けむる町 明日は放れて 行く男
今日を限りに 飲む女 残してく 残されてゆく
みんなこの町 なみだ町
― written by Mr. Ikuya N.
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(続)俺の青春時代。
大学一年生の後期試験が済んだ春休み。 それ迄自宅からバイク通学。 自動車免許は持っていなかつた。 地元の自動車学校は春休み期間中での実技練習申し込みは終了。 仕方なく四国のM市の自動車学校に申し込み、OK。 当地へ下宿することになる。 一週間は法令と構造の講習。 それから実技練習。 一日一時間のみ。 後は暇であつた。 時間つぶしに映画観賞と街をブラブラ。 俺の住んでいるところより少し田舎。
ある日、実技練習をするために教習車の順番待ちをしていた。 その後に並んでいたのは可愛い娘です。 後ろに髪を結んでいるポニーテール。新鮮だった。 とても可愛く見えた。 その学校での目的は同じ。 話題は豊富。 話しは弾む。 彼女と同じ時間帯で実技練習。 お互いに実技試験合格を目指して励ましあう。 彼女は地元の私立S女子大生だつた。桜咲く季節。
色々な名所を案内してもらった。 太陽の明るい光線が彼女の白い色の顔を照らす。 キラキラと輝く瞳だった。 楽しそうな仕草がごく自然に手をつなぐ。 いつも自動車学校で逢えることで安心し過ぎた。 住所も電話番号も聞いていなかつた。 俺の方も相手から聞かれていれば教えていたはず。 後から思えば彼女は控えめなタイプの女性。 俺としたことが、、、。(反省)
数週間後、彼女の方が先に実技試験を受け合格した。 見学をしていた俺。 俺の方に飛んで来た。 「オメデトウ」と両手を握る。 眼と眼が見つめ逢う。 いつもより興奮気味。 何か瞳が訴えていたのに気がつかなかった。 合格すれば学校は卒業です。 明日から逢えないのです。(判らなかつた)
翌日、いつもの時間に実技練習。彼女はいつまでたつても現れなかつた。 彼女は何処に…
そこで気がついた。が、遅かつた。 傷心の俺。 その夜は飲めない酒でヤケ酒だった。
その後日、この自動車学校に女性には変にやさしく、男には冷たい評判の悪い教官がいた。 いつもは気にしない大人しい俺。 些細なことから喧嘩になった。 「表へ出ろ」と言われ教習所のコースの中でにらみ合い。 そしてつかみ合い。(一触即発!) 他の教官達が止めに入りドロー。 その教官の兄貴は現役バリバリの地元ヤクザの幹部。 後からわかった。 知らなくて良かつた。 その日、喧嘩をした教官とは、学校側の仲介で仲直りの手打ち式。 男同士、分かり合えば早いもの。(お友達になってしまった) それから教官達の態度が激変。皆に大事にしてもらった。 時は経ち俺の実技試験も合格。(卒業だ!)
思い出の地、M市。 M市を離れる日が来た。 彼女の思い出が走馬灯のように出てきた。(桜が満開の公園、商店街で楽しいショツピング、喫茶店での会話等々数多く)・・・
港から船で出航する運命の時間が来た。 汽笛が鳴る。 スベリだした船。 デッキから港の方に眼をやる。 どこかで見た女性の姿。 「彼女だ!」 彼女が見送りに来てくれた。 親友になった学校のあの教官が、俺達のことを風のウワサで知っていた。 俺のために彼女に連絡してくれたのだ。 俺を喜ばすために…
(うれしかつた、本当にうれしかつた) しかし遅かつた。 運命のイタズラ。 間に合わなかつた。 お互いに手を振る。 彼女の瞳から大粒の涙、涙、涙…
「港町 涙町 別れ町」(石原裕次郎唄)
港町 別れ町 未練に けむる町 明日は放れて 行く男
今日を限りに 飲む女 残してく 残されてゆく
みんなこの町 なみだ町
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